南陽高に来春付属中 京都府南部初、中高一貫校に熱視線

 

南陽高(京都府木津川市兜台)は来年4月に付属中を併設し、府南部で初の公立中高一貫校となる。英語教育や海外留学といった「グローバル教育」と、関西文化学術研究都市の立地企業や研究機関との連携を一貫教育の柱に掲げており、保護者の関心も高い。一方で、近隣中学への影響や受験競争の過熱を懸念する声もある。


 府教育委員会は、2004年に洛北高(京都市左京区)、06年に園部高(南丹市)、15年に福知山高(福知山市)に付属中を開校した。府南部でも進路選択の公平性から検討を進め、昨年7月に木津川市、同9月に精華町からの要望を受け、南陽高への設置を決めた。


 南陽高付属中は定員40人の1クラス。中2で中学の学習内容を終え、中3から高校の内容を先取りして学ぶ。英語は時間数を増やし、中3で英検準2級以上の習得を目標とする。

 高校は、全員がサイエンスリサーチ科に進み、高1で3~4カ月の留学を奨励する。最終的に「TOEFL iBT」で米州立大に進学できるレベルとされる61点以上を目指す。

 高校受験がない「ゆとり」を生かし、中学からグループで探求学習に取り組む。学研都市の研究者による授業など、情報技術(IT)やライフサイエンスなどの分野で専門性の高い教育を進めるという。

 越野泰徳校長は「個性を多様に発揮し、新たな価値を生み出せる生徒を育てたい」と話す。

 南陽高付属中の通学圏は京都市を除く府内全域で、府南部の保護者の関心は高い。南陽高によると、これまで開いた4回の説明会に各回千~400人が参加し、6割が同高に近い木津川市、精華町、京田辺市からで、4割が宇治市などだった。

 10月21日の説明会に参加した城陽市の母親(42)は「私学のように多彩な教育が期待できそう。学研都市との関わりが魅力」といい、木津川市の母親(40)は「京都市内の私学も考えるが、費用や通学時間が気がかり。ここなら自転車でも通えるし安心」と話した。

 府教委高校教育課によると、木津川市や精華町は例年、地元の公立中へ進学せず、私学などに行く児童が1割を超え、府内でも多い地域という。京都市内のほか、通学しやすい奈良県や大阪府の国立や私立中に進学する児童も多いとみられる。公立中高一貫校の誕生で、他府県に流出していた児童が地元にとどまることも考えられる。

 一方で、懸念も出ている。精華町は町内3中学のうち、南陽高に最も近い精華南中は近年、生徒数の減少が続いている。2025年度には1年生が1クラスになる予想だが、南陽高付属中に生徒が流れればさらに早くクラスが減る。

 町は、適正な学校規模が維持されることを望む意見を府と府教委への設置要望書に盛り込み、過度な受験競争が生じないよう配慮も求めた。
 町教委は「詰め込むだけが教育ではない。子どもの人間教育やさまざまな活動が十分できなくなるのであれば良くない」と説明する。



2017.11.6
京都新聞から転載

 

「灘中高」は異次元の数学授業で秀才を育てる

 

名門進学校で実施されている、一見すると大学受験勉強にはまったく関係なさそうな授業を実況中継する本連載。第9回は関西の名門「灘」の人気授業を追う。


■中学3年分の数学を1年で終えてしまう

 「灘1位、日比谷2位」。1968年3月、新聞の見出しに、日本中が衝撃を受けた。戦前を含めてつねに東大合格者数1位だった日比谷高校の牙城を最初に崩したのは、開成でも筑駒(筑波大附属駒場)でもない。灘だった。兵庫県神戸市東灘区に所在する、中高一貫の私立男子校。1学年200人程度の小規模校にもかかわらず、東大合格者数ランキングでは例年トップ3に入る。

 「菊正宗」の嘉納家と「白鶴」の嘉納家と「桜正宗」の山邑家という3つの酒蔵が資金を出し、柔道の聖地「講道館」の祖であり東京高等師範学校の校長も務めた嘉納治五郎が創立者となり、1928年、灘は開校した。

 元教諭・橋本武さんによる『銀の匙(さじ)』のスローリーディング授業が有名だが、灘の驚異的な進学実績を支えているのは圧倒的な数学力だと一般にはいわれている。

 中学入試の算数は超難問。それをくぐり抜けた生徒たちを相手にして、数学に関しては、一般的な中学校3年分の内容を中1の1年間で終えてしまう。

 灘の数学のレベルの高さを象徴する名物授業がある。中2から高2を対象にした「オリガミクス入門 作図可能性を巡って」である。週5日制の灘において、土曜日に開講される特別講座「土曜講座」の人気授業だ。

 ギリシャ3大作図不可能問題の1つでもある「角の三等分問題」にも挑むという。2017年6月に実施された授業を見学した。

 120席ある「大講義室」に中2から高2の生徒約100人が集まった。各自折り紙を持参している。

■グループで話し合いながらガヤガヤ進める

 「9時になりました。授業を始めます。この講座は私が一方的に授業する講座ではありません。課題が1から7まであります。1は必ずやってもらって、あとは好きな課題に取り組んでもらいます。へー、おもろいな、ふーんという感じで折り紙を折って数学をしてください」

 河内一樹教諭が足早に説明を始める。

 「10時過ぎになったら課題を簡単に解説します。中2・中3の生徒には、後半知らないことがいっぱいあるかもしれませんが、まあ、気にしないで楽しくやってください。グループを組んでやってくれたら結構です。ワイワイ、ガヤガヤやってください」

 

河内教諭の授業ではグループワークを行うこともあり、その経験のある生徒は友達と相談しながらの数学には慣れている。

 「コンパスと定規の作図は中学の数学でやっていると思うんですけれども、折り紙にもそのような、最低これだけは守ってくださいという公理みたいなものがあります。それが課題1です。折り紙で許される作図の種類というのをまず確かめてください」

 早速こんな会話が聞こえてくる。

 「これ、自明すぎへん?」

 「手順1から3は省略してもいいでしょ」

 さすがは灘の生徒たち。頭の中で仮想折り紙を折るだけで、手順に書かれた意味合いが理解できてしまうのだろう。

 「でも、課題1をやるためにはやったほうがいいかも……」

 3人掛けの机で、こんな感じで話し合いながら課題を進める。


 課題が進むと、ただ折り紙を折るだけではなく、代数的な計算も必要になる。3人組のうち1人が計算をして、1人が折り紙を折り、もう1人が実働部隊の2人に助言を与えるような分業体制をとっているグループが多い。

 教室は、ワイワイ、ガヤガヤにぎやかだ。しかしうるさいわけではない。知的好奇心が刺激され、さらに友達同士で相乗効果をもたらし、にぎやかに数学の世界に没頭しているのがわかる。大講義室の空気が知的な振動を帯びている。

■証明問題の解説はたったの30秒

 講座の目玉でもある「角の三等分問題」は課題6に登場する。コンパスと定規ではどうやってもできないことが、折り紙だとできる。それを体験する。

 テキストの一部を抜粋転載する。実際に正方形の紙を使って、挑戦してみてほしい。作業自体は説明のとおりにやればできる。大切なのは「なぜそれで角の3等分ができているといえるのか」である。

 「10時になりましたので、ざっと解説したいと思います。いったん折り紙を折るのをやめて、話を聞いてください。まず4ページで、角の三等分ができるという話です」

 課題5までは一気に飛ばして、いきなり本題だ。

 「いろんな証明が考えられますが、あっさりいきますね」

 黒板にテキストと同じ図を描く。生徒たちも真剣な表情で黒板をにらむ。

 「平行に折っているので、この角(∠FC’C)とこの角(∠C’CB)は錯角で等しいです。それから、ここ(線分CFと線分FH)は等しい長さで折っていますので、ここを結ぶ(線分HC’)とこの角(∠HC’F)とこの角(∠FC’C)が等しいです。あとはこういう対称軸(2番目の手順でできた折り目)がありますので、この角(∠HC’C)とこの角(∠H’CC’)が等しいです。終わり」

 

 

 

「おー!」

 たった30秒でギリシャ3大作図不可能問題の1つの証明が終わり、教室からどよめきが起こる。声を上げたのはおそらく中学生が中心。高校生の多くはすでに理解していたのだろうが、河内教諭のまったく無駄のない説明にうなっていた。教室全体が脈を打っているかのように、知的な躍動感に包まれる。超名門校の授業でときどき見掛ける現象だ。これが「学びの集団」の迫力である。

 そこから先、約15分の説明は、数学に自信のある人でないと理解は難しいと思われるので、河内教諭の説明からごく一部のキーワードだけを抜粋する。

 「なので3次方程式のどんな実数解も、正方形の折り紙を使えば作図ができると」

 「中学生はたぶんついてこれてないと思うんですけど(笑)、高校2年生は一気に数学の世界が広がって楽しかったんじゃないかと思います。まあ、徐々にいろいろなことがわかればよろしい。まだまだ先は広がっています」

 近くに座っていた高2の生徒に聞いてみた。

■幼い頃からの疑問が解消されて感動

 「オリガミクス、どうだった?」

 「小さいときに折り紙が好きで、折り紙の本をよく読んでいました。でもそこによく『角が3等分になるように折りなさい』なんて普通に書いてあったんですけど、幼心に『そんなの無理じゃん!』とずっと思ってたんですよ。今日、本当に3等分に折れるということがわかって、ちょっと感動しました」

 幼い日に折り紙の本に書かれていることに疑問をもち、その疑問を手放さず生きてきて、灘に来てその謎が解けたというのだ。そのコメントに感動する。

 河内教諭にも聞いた。

 「数学は、問題を解いてテストで点を取ってステージアップするだけのものじゃないはずなんだけどね、という原点に立ち返って楽しむというのがいちばんの狙いですね。でも中2から高2までを対象にしてこんな発展的なことを扱うのは、本校以外なかなか見当たらないでしょう。90分でこんなにできるのは、この学校の生徒の底力ですね。彼らの数学に対する強烈な関心の持ち方に、今日改めてすごいなと思いました」

 教師がハイレベルな課題を与え、生徒がそれに十二分に応え、その姿に教師が感嘆の声をもらす。「学びの引力」とでもいうべき強力な力が作用している。灘が単なる受験進学校ではないことがおわかりいただけたのではないだろうか。

 

 

おおたとしまさ

 

東洋経済オンライン

 

 

ひき逃げ容疑 同志社女子中高の教諭逮捕

 京都市で28日、歩行者をひいてそのまま逃げたとして、同志社女子中学・高校の教諭が逮捕された。

 ひき逃げなどの疑いで逮捕されたのは、同志社女子中学・高校の教諭・木村裕行容疑者(49)。木村容疑者は28日、京都市北区を車で走行中に歩行者の男性と接触して右腕に軽傷を負わせ、救護せずに逃走した疑いが持たれている。

 警察によると、男性の妻が車のナンバーをスマートフォンで撮影していたことから、木村容疑者を割り出したという。

 調べに対し木村容疑者は「事故を起こした覚えは全くありません」と容疑を否認している。同志社女子中学・高校は「事実であれば大変遺憾に思います。再発防止に努めさせていただきます」とコメントしている。

 

最終更新:5/29(月)

 

日テレNEWS24

【中学受験2018】浜学園 上位校偏差値

 

 関西を中心に中学進学教室を展開している浜学園より、2017年の中学入試結果偏差値の提供を受け、男女別に、偏差値55以上の難関校の学校名・偏差値(合格率80%)・入試型を、偏差値順にまとめた。共学校について(男子)もしくは(女子)と記してあるものは男女別の偏差値、何も記していないものは男女共通の偏差値となる。

【2018中学受験】浜学園 男子 偏差値(2017年結果)
【2018中学受験】浜学園 女子 偏差値(2017年結果)

 男子を見て行くと、灘中学校・灘高等学校(64)、洛南高等学校・附属中学校(併願・男子・64)は前年同様で、筑波大学附属駒場中学校・高等学校(関東・64)が上位3校。海陽中等教育学校(特別給費制・63)、開成中学・高等学校(関東・63)は前年同様。白陵中学校・高等学校(後期・61)、東大寺学園中・高等学校(61)、麻布中学校・麻布高等学校(関東・60)、西大和学園中学校・高等学校(本校入試・男子・午後・60)、西大和学園中学校・高等学校(県外4科・全会場・60)、西大和学園中学校・高等学校(県外3科・岡山のみ・60)がこれに続く。

 女子は、洛南高等学校・附属中学校(併願・女子・64/専願・女子・63)、西大和学園中学校・高等学校(本校入試・女子・午後・63)、白陵中学校・高等学校(後期・61)、西大和学園中学校・高等学校(県外4科・岡山のみ/県外4科・全会場・60)神戸女学院中学部・高等学部(60)が偏差値60以上だった。

 浜学園は、兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、岡山県、愛知県の2府、6県で中学進学教室を展開しており、難関校に毎年多くの合格者を輩出している。また首都圏でも難関中学受験塾として駿台・浜学園を6教室を展開している。

 

りせまむ

 

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芦屋学園理事長がスピード辞任 わずか4カ月…運営トラブルが背景か

 芦屋大などを運営する学校法人「芦屋学園」(兵庫県芦屋市)で、元ラグビー日本代表の大八木淳史氏(55)に代わり昨年10月に理事長に就任した青井清一氏(68)が、わずか4カ月後の今年2月末で辞任したことが6日、学園関係者への取材で分かった。学園運営をめぐるトラブルが背景にあるとみられる。新理事長は7日の理事会で選出される見通し。

 学園関係者によると、青井氏は神戸市内で運送会社を経営し、昨年10月下旬から学園理事長を兼務していた。しかし、2月28日の理事会で青井氏が「一身上の都合」を理由に辞任を申し出て、承認されたという。

 複数の関係者によると、昨年秋の学園祭パンフレットに元暴力団組長の親族が経営する企業の広告を載せたことが問題視されたほか、外部からの経営介入疑惑に非難の声が上がっていたという。青井氏は産経新聞の取材に対し、運送会社を通じ「忙しくてお答えできない」と回答した。

 また、大八木氏は理事長を退いた後、同学園中・高校の校長を務めているが、3月末で退任するという。大八木氏は理事長在任中、中・高校の教頭だった男性に脅迫罪で告訴され、逆に男性を名誉毀損罪で告訴(いずれも不起訴)するなどトラブルが続いていた。

 

産経新聞

 

超名門校、洛北・西京附中の適性検査、「こだわり」とその理由

 

入試問題。
それはただ問題を並べただけのテストではありません。出題する学校の理念、言いかえれば「こんな生徒に入学してほしい!」という強いメッセージがこめられています。小学校入試から大学入試まで同じことがいえるでしょう。出題する先生がたは、建学の精神・理想の生徒像を常に念頭において、受験生の想像をはるかに超える時間と労力を費やして入試問題を作成しているのです。

千年の都、京都で圧倒的な人気を誇る洛北高校附属中学校、西京高校附属中学校。
2校とも適性検査といわれる入試問題への「こだわり」がしっかりとあり、先生がたの情熱がひしひしと伝わってきます。そしてそれは、算数のような一見無味乾燥と思える科目でも顕著にあらわれているのです。
洛北・西京附中の専門塾、進学館プライベートスクールの中井基臣が、算数の入試問題を通してぜひ参考にしてほしい、究極の入試問題対策をご紹介します。

 

 

洛北附中の「こだわり」は立体図形にあり

実は、洛北高校は日本でいちばんノーベル賞受賞者を輩出している超名門校です。(湯川秀樹氏、朝永振一郎氏の2名がご出身です)「洛北サイエンス」と呼ばれる“本物にふれる教育”を基本コンセプトにしており、企業・大学・研究所と連携して専門家の指導を受けたり、直接施設で体験・実験したりする科学的な学びを重視しています。文部科学省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定も受けており、どちらかといえば理系を重視した学校といえるでしょう。

その洛北附中が入学適性検査で強くこだわっているのが立体図形。2017年度入試では、5題の大問のうち、なんと2題も立体図形に関する問題が出題されました。同校が立体図形の問題で受検生に求めているのは、見えないところを想像する力、細部まで考える力、変化をとらえる力、正確に作図する力などです。知識やパターンに頼らない、本物の思考力・・・と呼ばれるものです。ちなみに、中学受験の最高峰といわれている灘中でも、算数の入試問題で立体図形が毎年のように出題されています。(それも1題ではなく複数!)

算数・数学の華である立体図形。来年以降も出題は必至です。洛北附中をめざす小学生は、入念に立体図形の勉強をしておきましょう。オススメの学習方法は、問題を解くときに必ず「作図をして取り組む」ようにすることです。図を描くことによって、立体図形の構造が本質的に理解できるようになります。

 

 

西京附中の「こだわり」はデータ分析にあり

今や、洛北附中と並ぶ勢いの人気を誇る西京高校附属中学校。この学校もまた、算数の入学適性検査で強くこだわっているものがあります。それはデータ分析の問題。時事的な要素もからめ、資料を読みとる問題は、西京附中の十八番です。2017年度は「海外旅行でいくらお土産に使うか」というデータから出題、その前年は「図書館の利用者数と貸し出し冊数」のデータから、さらにその前年は「京都市に宿泊した外国人客数」のデータから出題、といった具合です。

西京附中が受検生に要求しているのは、グラフの読み方、数値を正確に扱うことのできる計算力、資料中の数字がもつ意味を正しく判断する力、などです。そもそも同校は「エンタープライジング(進取の気性、冒険心)」を校是に掲げており、社会のあらゆる事象に対する分析力や自己決断力を備えたリーダーの養成を理想としています。さらにいうと、西京高校はもともと商業高校からスタートしており、情報処理については元来こだわりをもっている学校なのです。そう考えれば、毎年データ分析の問題が出されるのは当然だといえるでしょう。

狭き門の西京附中ですが、この学校をめざす小学生はぜひ、グラフ(特に数値表、円グラフ、帯グラフ)、割合の計算にたっぷりと練習時間を割くようにしておきましょう。

 

 

究極の入試対策とは?

冒頭で述べたとおり、入試問題にはどの科目においても、その学校の理念が必ず反映されているものです。そして、この傾向は、特に伝統校、名門校、難関校に色濃くあらわれています。まずは、過去問を徹底的に分析し、研究することこそが、合格への第一歩です。敵を知り己を知れば百戦危うからず・・・、究極の入試対策は過去問にあり・・・というわけです。

ただ、中学受験の場合、小学生が過去問を解いて傾向を分析するのはほとんど不可能です。これは、おうちのかたや塾の先生など、大人の役割です。実際に過去問に取り組むことによって得られる情報には計り知れない価値があります。めざす学校の入試問題への「こだわり」を発見することができれば、効率的で無駄のない受験勉強を子供に明示することが可能になるからです。これはとても大切なことです。

中学受験を志す小学生の保護者の皆さま。お子さまの志望校が決まっていれば、その学校の過去問に取り組んでみてはいかがでしょうか。お子さまと一緒に戦ってあげることで、家族の絆・団結力が深くなれば、実にすてきだと思いませんか。

 

 

ベネッセ 教育情報サイト

 

 

【京大合格ランキング】洛南トップ69人!入試制度変更の影響は?

 

プレジデント 2/2(木)    

【京大合格ランキング】洛南トップ69人!入試制度変更の影響は?

京大合格ランキング

 

 

 

トップ奪還の洛南!意外に強い公立単独高校

他地域からの志願者の減少により、都市部では地元占有率が高まる大学が多い。早慶など東京の有名私立大では1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の学校出身者が合格者の70%を超えるケースも少なくない。近畿圏でも同様の傾向だ。そうした中、京大の2016年入試における2府4県(大阪、京都、滋賀、兵庫、奈良、和歌山)の学校出身者が合格者に占める割合は50.6%で、東大の55.1%を下回る。

京大「合格高校」ランキング97位まで大公開

京大合格者数ランキング上位の学校の合格者数を10年前の2006年と比較すると、1位の洛南が32人減、2位の東大寺学園が13人減、8位の甲陽学院が32人減、9位の西大和学園が46人減など、合格者が大幅減の近畿圏の学校が多く、このことにより地元占有率が低くなっているのだ。

近畿圏のトップ校で京大合格者が減少する背景には、医学部志向の強さがある。東京に比べると大企業の本社が少ない関西で、優秀な学生が地元で就職するなら医師。2府4県には、京大や大阪大、神戸大に加え、滋賀医科大や京都府立医科大など医学部を持つ国公立大が8校あることもあり、京大に合格する学力があっても国公立大医学部を目指す受験生が多いのだ。

そうした状況を踏まえながら、京大合格者数ランキングを見ていこう。1位の洛南は15年に西大和学園に抜かれるまで、24年連続でトップだった。同校は06年から女子を受け入れ共学化している。医学部志向が強い女子の入学もあり、16年の国公立大医学部の合格者数は84人で全国3番目の多さ。医学部志向の強まりが京大合格者減の要因になったことは間違いなさそうだ。

15年にトップだった西大和学園は、前年の合格者数を32人下回り9位になった。それでも、1991年に京大合格者が0人だった同校の、難関大合格者実績が急激に伸びた学校としての評価は揺るがない。2位の東大寺学園は昨年と同じ順位。同校も国公立大医学部の合格者が多く、16年は53人で全国9位だった。

東大合格者数ランキングの上位を私立と国立の中高一貫校が独占するのとは対照的に、京大のランキングは3位北野、4位堀川と公立の高校単独校が入る。両校とも自治体のバックアップが合格者増の要因という共通点がある。

 

 

 

【京大合格ランキング】洛南トップ69人!入試制度変更の影響は?

京大キャンパス

 

 

東大志望者の敗者復活戦になった!?

北野は1984年の京大合格者数ランキングで1位になるなど、かつてはトップの常連校だったが、1990年以降に低迷期があった。そこから合格者が伸びた要因として、2011年に大阪府が、同校を通学区のない、進学に特化した文理学科を設置するグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)に指定したことにある。この影響もあり北野の京大合格者数は、06年と比較して19人増。GLHSには、北野の他にも7位の天王寺、14位の三国丘、22位の茨木など10校が指定されている。文理学科は各校4クラスだが、16年から北野と天王寺は普通科を廃止し全クラスが文理学科となる。大阪府立校のトップ2が学校全体で進学に特化することにより、京大合格者がどれだけ増えるのか注目される。

堀川は2001年の京大合格者が0人など合格実績が低かったが、1999年、京都府全域から募集可能な専門学科である探求科の設置を期に合格者数が増え、2006年との比較では30人増。このほか京都の公立校では17位の西京がエンタープライジング科、57位の嵯峨野が京都こすもす科と呼ばれる全府から募集可能な専門学科を設置。36位の洛北は附属中学を開設し中高一貫教育を実施することにより、京大合格者が増えている。

5位の洛星はかつて100人以上の京大合格者がおり、ランキングトップになったこともある学校。医学部志向の強まりが合格者減の要因と見られるが、洛南と洛星という京都のトップ私立校の合格者減は、公立校の合格実績の伸びと無関係ではないだろう。

京大の地元占有率が低いのは、首都圏の学校の合格者が増えている影響もある。1都3県で10人以上合格者がいる学校は、06年の麻布1校のみから16年は10校に増えた。中でも33位の女子学院は、前年の4人から12人と大幅増だ。ランキング50位以内には、12年から毎年10人以上の合格者がいる40位の西と、前年より6人増の千葉(県立)が入っている。首都圏の志望者が増えているのは、京大の自由な学風を好む受験生が増えていることに加え、東大が教養学部を経て専門の学部が決まるのに対し、京大は入学時に学部が決まることも影響しているようだ。

さらに、京大の入試制度の変更も首都圏の合格者が増える要因になっている。16年入試から京大は推薦やAO入試などで学生を募集する特色入試を導入し、これに伴い法学部は後期試験を実施した。これまで前期のみだった京大で唯一の後期実施学部になると同時に、推薦の導入で後期を廃止した東大志望者の受け皿にもなった。法学部・後期の地域別の合格者数は、1都3県の学校が6人で2府4県は7人とほぼ同数。首都圏の東大志望者の敗者復活戦になったようなのだ。

ランキング上位校の医学部志向の強まりや大阪や京都の公立校の合格実績アップ、他地域からの合格者増など、様々な要因により京大の合格者数ランキングは変化している。

 

 

大学通信 井沢秀=文

 

【中学受験2017】どうなる首都圏入試? 傾向と人気校の倍率・偏差値(まとめ)

 

首都圏の中学受験が本番を迎え、2月上旬に多くの中学校が入試を実施する。東京・神奈川の中学入試解禁日は毎年2月1日に設定されており、難関校の入試は1日と2日に集中する。

◆受験パターンの多様化

 最近の中学入試の傾向としては、複数回の入試を設定し、その機会の多さや受験しやすさから多くの受験生を集める学校が増えてきている。また、午後入試が定着し、1日2回入試を行う学校もあり、受験パターンが多様化してきている。

 ここ数年、受験者数の増加で注目される広尾学園は、12月実施の「国際生」のほか、2月1日の第1回(午前)、第2回(午後)、2月2日の医進・サイエンス回、インターAG回、2月5日の第3回と6回の入試を行い、第1回は前日まで、その他は入試当日まで出願を受け付けるなど柔軟に対応する。


◆インターネットの活用

 インターネット合格発表校は年々増加しており、即日、合否が確認できる学校も増えてきている。たとえば2月1日入試校が第1志望の受験生は、当日中に合格が確認できれば、2日以降の併願校を受験せずに済み、早期に受験を終了することができる。豊島岡女子学園、世田谷学園、攻玉社、洗足学園などの難関校も即日、インターネットで合格発表を行う。

 大学入試では一般的となったWeb(インターネット)による願書受付は、中学受験においても対応校が増加してきている。一方で、未だ窓口のみで受付を行う学校もある。たとえば、桜蔭と女子学院は郵送での受付を行っておらず、麻布も「願書はなるべく持参するように」としている。


◆難関校の偏差値と倍率

 東京・神奈川の難関校の倍率を見ていこう。あわせて偏差値【首都圏模試センター・SAPIX小学部】も示す(※1)。

 栄光は、2015年の3.7倍、2016年の3.5倍から2017年は4.0倍と、過去3年間で最高倍率。一方で同じ神奈川で同日入試の聖光(1回)は、2015年の4.4倍、2016年の4.2倍から4.0倍と微減。開成、麻布はほぼ例年どおりの倍率となっている。

 女子学院は2015年の4.0倍から、2016年の2.9倍、2017年の2.8倍と減少傾向にあるが、2015年はサンデーショック(※2)により一時的に志願者が増加したと考えられる。

 最上位層の難関校の1日、2日の入試では、男子は3~4倍、女子は2~3倍程度が多く、目立った高倍率とはならないが、成績上位層が集中することから、倍率にかかわらず、厳しい入試が予想される。

<男子校>
開成【偏差値:首都圏模試77・SAPIX66】定員300名・応募者1,195名・4.0倍
聖光学院(1回)【76・64】定員175名・応募者695名・4.0倍
栄光学園【75・60】定員180名・応募者713名・4.0倍
駒場東邦【74・61】定員240名・応募者532名・2.2倍
麻布【74・60】定員300名・応募者967名・3.2倍

<女子校>
桜蔭【76・62】定員240名・応募者516名・2.2倍
女子学院【74・60】定員240名・応募者676名・2.8倍
雙葉【73・58】定員100名・応募者366名・3.7倍
フェリス【71・55】定員180名・応募者422名・2.3倍


◆大学附属校の人気

 今年の中学受験の傾向を聞いた11月の取材では、サピックス小学部と四谷大塚は、特に附属校志向の高まりをあげていた。人気附属校の一部の志願倍率と偏差値を見ていこう。

 早慶では、1日校の倍率に大きな変化は見られないが、3日の慶應義塾中等部の女子で、昨年の7.9倍より0.5ポイント高い8.4倍と高倍率。青山学院は、2015年4.1倍、2016年5.9倍からさらに倍率が上がり6.1倍。明治大学付属明治は、2015年の7.3倍、2016年の7.2倍から2017年は7.5倍と、過去3年間で最高倍率となった。

<2月1日入試>
慶應義塾普通部【73・57】定員(男)約180名・応募者566名・3.1倍
早稲田実業学校【72・58】定員(女)40名・応募者195名・4.9倍
早稲田(1回)【72・57】定員(男)200名・応募者787名・3.9倍
早稲田実業学校【72・54】定員(男)85名・応募者344名・4.0倍
早稲田高等学院【69・53】定員(男)120名・応募者407名・3.4倍
立教女学院【65・-】定員(女)約110名・応募者288名・2.6倍
中央大学附属(1回)【64・-】定員(男女)100名・応募者(男)182名/(女)226名・4.1倍
中央大学附属横浜(1回)【63/65・-】定員(男女)80名・応募者(男)230名/(女)259名・6.1倍
法政大学(1回)【61/64・-】定員(男女)約50名・応募者272名・5.4倍

<2月2日入試>
慶應義塾湘南藤沢【72・58/60】定員(男女)約120名・応募者(男)319名/(女)320名・5.3倍
明治大学付属明治(1回)【67/69・53】定員(男女)約90名・応募者(男)377名/(女)302名・7.5倍
立教池袋(1回)【65・-】定員(男)約50名・応募者236名・4.7倍
青山学院【64/68・-/54】定員(男女)約140名・応募者(男)360名/(女)497名・6.1倍

<2月3日入試>
慶應義塾中等部【74・63】定員(女)約50名・応募者420名・8.4倍
慶應義塾中等部【71・56】定員(男)約140名・応募者851名・6.1倍

※1 志願者数は日能研入試情報の「倍率速報」を参考にした。


 偏差値は「首都圏模試センター:1月更新の2017年予想偏差値」と「SAPIX小学部:第4回 12月4日(日)の合格力判定サピックスオープンの結果をもとにした2017年中学入試 予想偏差値」より掲載。いずれもWebで公開されている情報に基づいて掲載した。情報が公開されていないものは「-」とした。共学校で男女別の定員がなく、偏差値が異なる場合は「男/女」と示した。

※2 入試日の2月1日が日曜日にあたるため、プロテスタントの女子学院が2月2日に入試日を変更することにより桜蔭と女子学院を併願可能になる。

リセマム   2017.2.1

駿台と浜学園、関西で共同の高校受験塾 難関公立に特化

 

 中学受験塾を営む「浜学園」(兵庫県西宮市)と、駿台予備学校などを運営する「駿河台学園」(東京都千代田区)は13日、共同で関西に高校受験塾を開くと発表した。大阪府内にある難関公立高校の受験に特化する方針で、まず2017年3月に大阪府豊中市の阪急宝塚線豊中駅前と、北大阪急行千里中央駅前に2校を開く予定だ。

 12日に駿台が55%、浜学園が45%を出資する合弁会社「駿台・浜学園」を設立した。指導は東京や京都で難関公立高校への合格実績がある駿台側が主導する。2月にも塾の説明会を開くといい、「関西地区での圧倒的な存在感のある進学塾をめざす」としている。

 駿台によると、大阪府内では北野や天王寺といった公立高校の人気が根強い。小学生の頃から公立高校をめざしている生徒も多く、こうしたニーズを取り込むのがねらいだ。灘中や神戸女学院中といった関西の難関中学の受験指導で実績がある浜学園と組むことで、小~中学生の指導に連続性を持たせることができるという。

 少子化による生徒の獲得競争は激しくなる一方で、学習塾の再編が進んでいる。駿台・浜学園は当面、大阪府内での展開に注力するが、今後、関西で5~10校程度を開きたいとしている。

 駿台・浜学園は13年に首都圏で合弁会社を設立し、難関中学入試向けの受験塾6校を展開している。(笠井哲也)

朝日新聞社

「開成は平凡」 東大理三も京大医も制覇! 灘高はなぜ「実は最強」なのか?

「開成は平凡」 東大理三も京大医も制覇! 灘高はなぜ「実は最強」なのか?

 

 

 日本最難関の東京大学理科三類と京都大学医学部医学科。私立灘高校(神戸市)は2016年にそれぞれ20人、25人の合格者を出した。両医学系の5人から4人に1人は灘高生、もちろん全国トップの実績だ。35年連続東大合格者数トップの私立開成高校(東京・荒川)、筑波大学附属駒場高校(東京・世田谷)を加え、「日本の進学校トップ3」と呼ばれるが、受験関係者からは「最強の学校は灘なのではないか」とも指摘される。灘中学・高校の強さの秘密に迫った。

 

 

■開成・東大理三は「平凡」

 「我々の時は東大理三は1学年に90人でした。やはり一番多いのは灘出身者で、うちはその次かな。灘の連中は面白いというか、切れ者が多かった。それに比べると、うちは普通というか、平凡ですよ」。遠隔診療システムを提供する医療ベンチャー、メドレー(東京・港)の豊田剛一郎・代表取締役医師はこう話す。豊田氏は開成から03年に理三に合格、医学部を卒業後に脳外科医となったが、現在は経営者だ。
 開成出身の東大医学部の学生がとても平凡とは思えないが、実はこのメドレーには「東大医学部出身者が5人ぐらいいます」と豊田氏は話す。隣の席の灘高出身者の社員に確認して、「まあ当時も灘から毎年15~20人が理三に合格してたそうですから、灘がずっと多数派ですね」と答えた。
 現在、東大医学部医学科に進む理三の募集人員は97人。工学部や理学部などに進む理一の1108人、主に農学部などに進学する理二の532人と比べて、いかに狭き門なのかが分かる。各予備校は様々な偏差値データを出しているが、いずれも東大理三がトップ、その次が京大医学部医学科だ。「理三、京医が受験界の最高峰」と呼ばれる。1学年の定員は220人の灘から、計45人がこの2つの最高峰に合格しているわけだ。
 ライバル校の開成は1学年は定員400人。16年の東大合格者は171人と全国トップだが、理三となると7人にとどまる。筑駒は160人で、東大合格者は102人、理三は15人だ。一方、灘は東大合格者は94人で3位だが、学年定員に対する合格率では筑駒に次いで2位。理三の合格者では20人でトップを走る。13年には実に27人の理三合格者を出しており、最近は毎年20人を超す。

 

 

■灘には「6つの学校」がある

 なぜこれほどの進学実績を上げているのか、神戸市の同校を訪ねた。
 JR神戸線の住吉駅から徒歩10分。六甲山系から流れる住吉川沿いの閑静な住宅街に灘中学・高校がある。6年間一貫教育の男子校だ。
 「灘高生だからといって、みんなが優秀ではありませんよ。ただ、うちの生徒は東大志向というよりも、最近は3人に1人が医学部志望だから、理三や京大の医学部に行きたがるんでしょうね」。灘中学・高校の和田孫博校長は穏やかな口調で話す。灘にいくつかの大きな特長があるという。
 「灘には6つの学校があるといわれる」と和田校長は話す。学年ごとに教師7~8人で構成される「担任団」というチームをつくり、6年間の持ち上がり制で生徒の面倒を見る。6つの担任団がそれぞれ学年の生徒と一体化し、運営してゆくため「6つの学校」のような形態となる。
 ある数学の先生が16年度の中学1年の担任団に入ると、大学受験まで6年間、責任を持つ。担任教師は他の教師に引き継ぐことなく、6年間を見越したカリキュラムを組み立てる。
 「うちの生徒は面白い子というか、個性派ぞろいですが、担任団は自分の学年の生徒については、あの子はどんな性格で、学力はどんなものなのか、1人ひとり詳しく把握している」(和田校長)という。結果、6年間を見据えた授業を設計し、各教師の責任でしっかりとした授業を行えるのだ。

 

「開成は平凡」 東大理三も京大医も制覇! 灘高はなぜ「実は最強」なのか?

日本航空の大西賢会長

 

 

■教師は「落語家集団」

 和田校長は「教師は『落語家集団』ですわ。職員室は楽屋ですね」という。灘の教師陣も個性派の実力者ぞろいだ。「つまらない授業だと、生徒はすぐそっぽを抜く。だから授業内容は面白くて充実していないといけない」(和田校長)
 中学の3年間をかけて中勘助の『銀の匙』1冊を読み上げる国語授業で知られた橋本武氏(故人)がその代表だが、他の教師もいずれも個性派ぞろいだ。
 「徒然草が大好きな古典の先生も、いつも喜々として徒然草の話ばかりだった」と灘高出身で日本航空会長の大西賢氏は振り返る。
 「他の古典は、そのぶん後で、自分で勉強しなければならないことも多いが、詰め込みではなく、生徒一人ひとりに考えさせる授業なので、面白くて、学ぶ楽しさを肌身で知ることができた」という。
 一方で「理科系の科目は、最初に理論をササッと教えて、後はひたすら問題集の問題を解くというスタイルだった」というが、和田校長は「基本的には大西さんの時代とそんなに変わらないですね」と笑う。
 灘の教師の4分の1は灘出身だ。他の教師は和田校長らが公立高校などの有能な教師をスカウトする。通常の公立高校の定年は60歳だが、灘は65歳、しかも再雇用で68歳まで働ける。非常勤講師なら70歳までも可能だ。
 「有能な先生が安心して長く働けます。公務員よりボーナスも少しいいかな。6年間持ち上がり制を何回か繰り返して教師力を磨いてもらいますから、いい先生にすぐ辞められると困るんです」と和田校長はいう。
 6年持ち上がり制、個性派教師陣はたしかに灘の特長だが、これであれほどの進学実績を上げられるのだろうか。和田校長は「では、面白い場所を見せてあげましょう」と校内を案内してくれた。=つづく
(代慶達也)


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中学受験、関西でプレテスト拡大 受験生囲い込み狙う

 

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毎年1月にある私立中学入試に向け、本番さながらの内容を出題する「プレテスト」を夏から冬にかけて実施する学校が増えている。受験生にとっては「腕試し」の機会で、学校側にも受験生を囲い込めるメリットがある。関西特有の制度だが、プレテストを受けると本番で加点する学校もあり、「やり過ぎだ」との声もある。

 

 

■本番までの学習法アドバイスも

 20日午前9時、張り詰めた空気が教室を包んだ。「始めてください」の校内放送で、小学6年生約450人が、一斉に国語の問題に取りかかった。

 

 大谷中学校(大阪市阿倍野区)は今年、初めてプレテストを導入した。入試当日と同じ教室を用意し、実施時間帯もそろえた。教職員約100人が総出で、道案内や試験監督など本番さながらに配置についた。控室の講堂には500人以上の保護者の姿。長女(12)に付き添った大阪府河南町の主婦(40)は「トイレの場所が分かっただけでも安心。当日はリラックスして普段の力を発揮してほしい」と話した。

 雪矢(ゆきや)敏明校長は、「保護者からの導入要望は前からあったが、入試と同じ水準の良問を作るのは大変な労力で、プレテストは実施してこなかった」と話す。入試説明会や公開授業で学校をPRしてきた。

 

 ところが、「共学校志向」の高まりで、大阪府内の女子校は軒並み苦戦。今春、大谷も240人の募集に対して、入学者は182人という「開校以来の厳しい募集状況」(雪矢校長)となった。そこで、新たな手としてプレテストに白羽の矢を立てた。

 プレテストは小6が対象で、ほとんどの学校が無料だ。各校は、7月上旬から12月下旬までの間に開く。複数回設ける学校もある。最近では、プレテストの結果を返却する際に、児童と保護者を呼んで、入試本番までの学習法などをアドバイスする懇談会を開く学校も多い。

 

 

上宮太子中学校(大阪府太子町)は今回の入試から、従来型に加えて、複数の教科内容を組み合わせた「適性検査型」を導入する。合わせてプレテストも2種類用意。11月13日には両方式で延べ228人が受けた。同校も近年の入試で「定員割れ」に苦しむ。

 来春、同町と隣接する大阪府富田林市の府立富田林高校に、府立初の中高一貫校「富田林中学校」が併設される。同校も適性検査型入試を採用するため、上宮太子は「併願先にしてもらえるのでは」との期待を寄せる。

 

 

■大阪で始まり、京都・兵庫に拡大

 プレテストは20年ほど前に、大阪で始まったとされる。教育情報会社「エデュケーショナルネットワーク」の藤川享部長によると、当初の実施校は少なかったが、「背に腹は代えられないとして徐々に導入に踏み切る私学が増え、2013年に進学校の清風南海中学校(大阪府高石市)が参入してから私学界に定着した」と話す。

 

 同社のまとめでは近畿2府4県でプレテストを採り入れたのは06年の34校から今年は93校に増加。全145校中6割を超える。

 

 一方、首都圏ではプレテストは一般的ではない。東京私立中学高等学校協会によると、都内の私立中学校は「合否判定と誤解されるような紛らわしい行為」として、相互申し合わせで実施していないという。

 

 京都や兵庫も当初は「様子見」だったが、09年ごろから京都で、12年ごろから兵庫で追従しだした。来春開校の神戸学院大付属中学校(神戸市中央区)の稲葉雅也・中学校開設準備室長は「新設校にとってはなおさら、プレテストは受験生がどれくらい受けてくれるのか予想する一助になり重要」と話す。

 

 背景には近畿全体で中学受験をする児童数の減少傾向がある。小学6年の全児童の中で、私立中学の入試が集中する1月中旬の解禁日初日の午前に受験する児童数の割合(受験率)は、06年度の10・3%から16年度は9・2%になった。

 加えて大阪では、橋下徹氏が府知事時代に府立高校10校を「進学指導特色校」に指定するなど、公立高校改革が進められ、公立中学から公立の進学校を経て難関大学に進むルートに根強い人気がある。

 

 最近では、プレテストを受けると一定の点数を与え、入試本番の結果と合算して合否判定する学校も出てきた。

 

 履正社学園豊中中学校(大阪府豊中市)は250点満点のうち、6割以上を得点した児童で専願での出願予定なら24点、併願なら12点を加点する。6年前から始めたという。同校は、「少しでも足を運んでもらう仕掛けの一つ」と説明する。追手門学院大手前中学校(大阪市中央区)は全員を対象に、点数は非公表ながら一定の点数を与えている。約10年前に制度を設けた。入試担当者は「受験生を増やしたい思いから」と説明する。

 

大阪私立中学校高等学校連合会の松藤吉弘事務局長は「加点することは、きちんと明記していれば問題ない」とするが、複数の私学の関係者からは「入試2カ月前の結果で加点するなんて、過熱しすぎ」といった声もある。(小河雅臣)

 

朝日新聞デジタル 2016.11.28